手回し人形のおはなし
オルゴールを作り始めた当初は、響きや音量、形など、どのようなものが一番なのか、試行錯誤していました。
まだ初期の形の頃、ある展示会で飾っておりましたところ、小さな男の子がその前に立ってじっと眺めていました。かかっていた曲が終わると男の子は「おじさん、このリスはいつ動くの?」と聞いてきました。
オルゴールの上には、小さなリスの人形が飾ってありました。このリスは、古くから親しくさせていただいている「工房KOKIMOKU」の小泉さんが作ったものです。
そか~この子はきっとどこかでこのリスが動くものと思って待っていたのか・・・
その後、オルゴールの楽しさに見る事を加えようと考え、次のキャビネットタイプを製作しました。飾って楽しんで頂けるものを、そして動きのある人形を、やさしい灯りで照らしてあげよう。と、考えが少しずつ膨らんでいきました。
しかし、肝心の人形は・・・
動物やピエロは雰囲気は良いけれど、どこかで見かけるようですし、楽器を演奏させても良いですが、曲によっては合わないかもしれない。そんな風に悩んでしまいました。
そんな時にふと思い出したのは、展示会で私に尋ねた男の子。そうだあの男の子だ!
あの子ならきっと手回しオルゴールも回してくれるだろう・・・
これが、手回し人形ができるまでのおはなしです。
このタイプになり、皆さんにとても喜んで頂くようになりました。